JVCEA(日本暗号資産取引業協会)から日本国内の仮想通貨現物取引高が公開されています。具体的な取引データが掲載されており、月ごとに仮想通貨取引の現状を知ることができます。取引所の口座数や建玉といった詳細なデータも公開されています。
この記事では現物取引と証拠金取引の取引高のデータを分析して、取引高の割合や変遷について解説します。
結論を書くと、2021年以降長期保有の傾向が強くなったことと、証拠金取引は短期取引向けで現物取引は長期取引向けということです。
JVCEAが公表しているデータについて
JVCEAでは月ごとの仮想通貨の現物取引と証拠金取引の統計情報を公表しています。JVCEAの統計データWebページ
仮想通貨取引所の取引高や利用者口座数、建玉の残高といった細かい情報も公開しています。この記事でもJVCEAの統計データを使用しました。2019年1月から2021年9月の範囲で、現物取引と証拠金取引の取引高を分析しています。
分析した結果は以下の通りです。
- 2021年1月から現物取引の割合が急増
- 2021年4月は唯一現物取引が証拠金取引の取引高を上回った
この2つの結果から仮想通貨取引においては、証拠金取引は短期取引向けで、現物取引は長期取引向けとなります。結果について順番に解説します。
2021年1月から現物取引の割合が急増
以下は現物取引と証拠金取引の取引高のチャートです。


どちらもグラフの形は似ていますが、細かいところで違いがあります。まずは金額の規模です。証拠金の取引のほうが圧倒的に多いことがわかるでしょう。それから2019年5月と2021年1月に取引高が急増している山があります。
2つのグラフを重ねてみると細かい違いが見えてきます。

比較しやすくするために、証拠金取引は20%の金額に補正しています。現物と証拠金取引で、山の頂点の時期が少しずれていることがわかると思います。
2019年5月と2021年1月のどちらも、証拠金取引が増加した後に現物取引の取引高が増えています。さらにビットコインの価格と重ね合わせると取引の傾向が見えてきます。

縦軸はビットコインの価格に合わせています。
現物取引高とビットコインの価格はほぼ連動して動いています。しかし、証拠金取引はビットコインの価格が上昇しきる前に減少しています。
つまり、証拠金取引をしている大多数はビットコインの価格が上がる前に約定していると推測できます。利益を最大限に得ることができずに約定しているということです。
証拠金取引だと値動きの乱高下に耐えられずに、ロスカットとなっているというのも要因でしょう。
一方で現物取引はビットコインの価格が上昇すると、それに合わせて取引高も上昇しています。
そして、2021年以降は現物取引は増加していますが、証拠金取引は下落しています。長期目線で仮想通貨を保有する人が増えたということです。このころに大手企業の参入やDiFi、NFTなどが話題になったことで、仮想通貨の将来性に期待する人が多くなったということでしょう。
データから見てもわかるように証拠金取引では利益を最大限まで伸ばせる可能性がかなり低くなっています。
現物取引と証拠金取引の割合比較
下記のグラフは現物取引と証拠金取引の割合を示したグラフです。

このグラフは証拠金取引に対する現物取引の割合を示しています。例えば、現物取引の取引高が8兆円で証拠金取引の取引高が10兆円なら80%となります。割合が高いほど現物取引の取引高が多いということになります。
2021年4月は唯一100%を上回っています。現物取引の取引高が証拠金取引を上回ったということです。
2021年初めからビットコインが強い上昇トレンドとなり、さらに当時の史上最高値を更新していったので、その影響で取引高が爆発的に増えました。
その中でも現物取引の取引高が急増した理由は、仮想通貨を投機ではなく長期保有で投資としてみる人が増えたことだと推測されます。投資経験が豊富な個人投資家が増えて、現物取引の割合が増えたという流れです。
数日単位で仮想通貨を売買しても利益を上げることは難しいです。しかし、数ヵ月単位で投資をすれば、右肩上がりの相場の恩恵を最大限に受けることができます。
今後も、現物取引の割合が徐々に増加することが予想されます。なぜなら現物の長期保有ならロスカットが起こらないためです。ビットコインの価格変動にもあまり左右されないでしょう。
まとめ
2021年4月に現物取引の数量が証拠金取引の数量を上回りました。つまり、投機ではなく投資として仮想通貨取引をしている投資家が増えていると推測されます。
現物取引は長期目線で証拠金取引は短期目線のスピード勝負となります。自分のリスクの許容範囲に応じて取引方法を選びましょう。
証拠金取引は爆発力はありますが、その分リスクが高く上級者向けとなります。仮想通貨で儲けた人の裏側には損失を出した人が想像よりも多く存在するということを忘れないようにしましょう。短期で大きな利益を得ているのはごくごく一握りの人だけです。